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私は細かい考えを持つ人ではない。過去に母の日を忘れたこともある。そして、ハンナとの恋愛中には、バレンタインデーを一度忘れてしまったことさらある。幸いなことに、ハンナはそのことで怒ったり、大事にされていないと思ったりはしていなかった。私はそれぞれの記念日が覚えがたい。実際には、クリスマスがそんなに喧噪でなければ、私はそれにも気づかないかもしれない。それは私が自身のことにだけ集中しすぎたからでもないが…まあ、確か、集中し過ぎたのが要因かも。しかし、人々はみんな一様だろう。

私は、誕生日やほかの記念日だけで人に関心を持ち直すなんて馬鹿な行為ではないかと思っている。誰かを愛しているなら、常に愛を表現すべきだ。特定の日に限って妻に花贈りをするなんておかしくないではないか。言うより行動が大切。特に愛を表す行動は、特別な理由が要らなく、ただ気を配っていて自然にやれるものだ。

これはハンナに教えられた道理だ。今年の今日、五月八日、私は、三十六歳の若く綺麗な我妻である彼女を失った。今日まで彼女はもう一年間亡くなっているが、今でも彼女の面影を思い浮べると悲しみを堪えられない。

その一年間は、三百六十日の寂しく虚無な日々なのだ。

ハンナが死んだ後に、私は墓の側に立って、棺が地下に運ばれるのを見てから、初めての一握りの土地を墓に自分の手で入れた。土がつやつやした棺の蓋にぶつかる虚ろな音は脳裏に焼き付いて永遠に忘れられない。

今では、一時間毎に、ハンナのことを思い出す。こんな程度になったのは私にとって大きい進歩だ。ハンナが亡くなってから数ヶ月、彼女の姿はいつも私の心から消えていなかったから、何を見ても、何を聞いても、彼女のことを思い出したのだ。